精神医療の管理・9
P.S.W.の役割
遠山 哲夫
1
,
白石 昭子
2
1昭和大学付属烏山病院
2国立久里浜病院
pp.97-106
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204772
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昭和大付属烏山病院における仮説
はじめに
わが国の精神医療の展開場面に,いわゆるサイキアトリック・ソーシャル・ワークなるものが紹介され,すでに20数年になろうとしている.その発展・消化の過程において,いわゆるソーシャル・ワーカー(以下P.S.W.)と呼ばれる人たちの人数は確実に増しつつあるが,役割や地位など基本的なものについてはどの程度進展してきたのか疑問である.
昭和38年,国立精神衛生研究所が実施した調査1)の業務内容で,その一端をうかがうことはできるが,柏木ら2)が‘業務内容は多種多様で,ソーシャル・ワーカー自身も,また病院側でも何が木来の業務なのかわからないまま,どこかに安住の場を見つけようと暗中模索していたと思われる……’と述べているようにP.S.W.の役割は不明確である.その後,日本精神医学ソーシャル・ワーカー協会を中心に荻野3),杉田4),窪田2),岩本5),柏木2,6),小松2,7),伊藤8),小林9),早川10),竹村16),堀田11)らによりその役割が徐々に明確にされつつあるが,まだ普遍性のあるものを期待できる段階ではない.理論的根拠の相違による違いは当然としても,個人差,各施設間による差が大きく,理論的背景にも混乱がみられ,未整理・未発達の状態であることは,前述の調査時点と大差なく,今後もこの状態が当分続くものと思われる.
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