看護管理・9
看護評価の考え方
吉武 香代子
1
1弘前大学・教育学部看護学科教室
pp.70-71
発行日 1972年9月1日
Published Date 1972/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204766
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看護評価に内在する困難さ
看護評価をめぐる論議が,最近少しずつ活発になってきている.看護の成果を客観的に評価することが容易でないことは,すでに多くの先人によって指摘されている.看護において先進国であるアメリカでも,この困難さは指摘されており,決して評価に関して絶対的な方法が示されているわけではない.
昭和46年10月の第9回日本病院管理学会において,私どもは‘看護評価’についてのシンポジウムを行なった.このとき私が発表した要旨は,すでに看護学雑誌本年1月号に掲載されている.このなかで私は,看護の成果は医療全体の成果として総合的に評価されるため,看護単独で評価されにくいこと,一定水準に達している看護と達していない看護は見分けられても,一定水準に達してからの質的評価は困難であること,患者側の条件が種々であるため,同一基準で評価が行なわれがたいこと等々を述べて,看護を客観的に評価する尺度が未開発であることを述べた.そして現在も残念ながら私の考えは本質的にこの域を脱しているわけではない.Dr.ランバートソン,Dr.アブデラら,高名な看護研究者が結局‘困難である’といい,‘今後の研究の必要’を強調している分野に,そう簡単に新しいアイデアが浮かぶはずはないのである.
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