精神医療の管理・1
総合病院精神科の機能
原 俊夫
1
1北里大学・精神神経科
pp.97-103
発行日 1972年1月1日
Published Date 1972/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204559
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はじめに
この10年くらいの間に,総合病院に精神科が併設されることが多くなってきたことは事実であり,その理由として,向精神薬などを通じて他科の医師が精神科医の必要性をある程度感じてきたことと,一般患者にも以前のような精神科ないしは神経科に対するいわれなき恐怖や受診の恥かしさが薄れてきて,併設の需要が高まってきていることをあげることができるであろう.しかし,実際においては,まだ他科の医師の精神科医や精神医療に対する偏見と不信と無理解にぶつかることは稀ではないし,精神科の併設がほんとうに医療面での必要性から出ているのか,‘うるさい患者’のために他科の医師の診療時間がとられたり,看護婦などとのトラブルが起こるのを単に回避する手段として精神科にそれを押しつけるのを目的としているのか,はなはだあいまいな場合が少なくない.
一方,われわれ精神科医のほうを省みるならば,総合病院の中で自分がいかにあるべきかという基本的な姿勢や視点を欠いていたり,精神医療全体の中で果たすべき役割をはっきりつかんでいなかったりするため,新たに併設された総合病院精神科に赴任しても,精神病院勤務の精神科医とさえ意志の疎通を欠くことすら現実にみられる.
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