精神医療の模索・9 総合病院における精神医学(療)の技術
総合病院精神科とLiaison Psychiatry
武正 建一
1
1杏林大学医学部精神科
pp.773-775
発行日 1978年9月1日
Published Date 1978/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206652
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はじめに
医療技術のめざましい進歩とそれに伴う専門分野の細分化は,一方ではより統合的な視野に立った病める人たちへの人間的な医療が求められているのも事実であろう.こうした状況の中で,総合病院精神科の果たす役割は次第に大きくなっていると思われるが,果たして他科との緊密な連携のもとで理想的な総合医療が行われうるかということになると,その医療経済上の問題,労力といった面から決して容易ではないというのが率直な感慨である.
これまでの精神医療の歴史的な流れを振り返ってみると,やはりそこには単科の精神病院を中心にして発展してきた精神科というものを考えざるをえない.したがって精神科とは,精神病者の治療にたずさわる特殊な科としての印象が精神科以外の各科の医師たちに持たれてきたし,また現在もなしとはいえないであろう.精神医学が今もなお,ある意味合いでは特殊な専門分野であるということは,心身の統合を目標としながらも,なおこの壁を乗り越えることができないでいるという精神医学自身にとっても,重要な課題として残されていることであるが,これについてここで深く立ち入るつもりはない.
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