動き
イタリアの精神病院
原 俊夫
pp.587-589
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200126
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私がイタリアの生活をはじめてから,早くも半年になろうとしております。雑誌「精神医学」が着々とその実をあげていることを知り大変嬉しく思つております。何か当地の精神病院について書けとのおすすめですが,一個人が短時日の間に正しい外国の批評をすることは,まず不可能なのではないかと考えます。それで書翰の形式で,あくまで見聞記という範囲で雑然とした印象を書いてみます。しかし,一つの問題についても,なるべく多くの人に聞き質したり,また同一の問題についても,2,3の都市のものを比較するなど,一応の努力は払いました。
私のこれまでの留学の前半は,主として精神病院を見てあるくことに費し,その後現在に至るまで,Genova大学の精神神経科教室で,主として実験的なことをやつております。ここのG. F. Rossiは昨年までPisaのMoruzzi教授の教室にいた神経生理学者で彼と一緒に実験をしている関係からPisaの様子も少しはお知らせできますが,そこには東大脳研(生理)の平尾氏が活躍しておられ,同氏の報告がより正確でありましよう。それで私のは主として精神科の方面の見聞記になります。
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