特集 人の使い方の再点検
医師の使い方—その時代錯誤的な発想を生かす方法を教えます
谷本 普一
1
1虎の門病院・呼吸器科
pp.27-33
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204461
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はじめに
‘使う’ということばには,主従関係を暗示する響きがあり,各職種の専門的分化とその総合によるチーム診療が要求される現在の医療のあり方からみれば,まさに時代錯誤的な発想といえよう.しかし人が人を使う縦の人間関係は,依然として根強くわれわれの社会に存在しており,その人の使い方の日本的適用が,今次大戦のおびただしい消耗を可能とし,また戦後の神話的な国民総生産の増加をもたらしたものともいえるし,‘人の使い方’ということば自体,‘人を効率よく働かせる方法’ということを簡潔に表現したものとして,これに代わるべき適切なことばがないくらい,社会に定着し頻用されている.
しかしこの縦の人間関係が既に大きな危機に直面していることは,ここ数年の大学紛争,特に医学部のそれをみれば明らかであろう.このような社会全般の縦の人間関係が再検討を迫られている現在,種々の職種の人びとの機能的な横の連繋が重視される病院における"人間関係のありかた"を検討することは意味のあることであり,この特集の意義もそのようなことを背景にして成立するものと考えられる.
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