精神医療と精神病院・4
精神衛生センターと入院診療—東京都立精神衛生センター・神奈川県立精神衛生センター
菅又 淳
1
,
石原 幸夫
2
1東京都立精神衛生センター
2神奈川県立精神衛生センター
pp.48-52
発行日 1971年4月1日
Published Date 1971/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204289
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東京都立精神衛生センターの場合
精神衛生センターの本来の役割
‘精神衛生センターと入院診療’というテーマを与えられたが,この標題はある意味で奇妙である.というのは‘精神衛生センター’と‘入院診療’とは原理的には相反する概念であるからである.
精神衛生センターの最大の目標は,地域精神衛生の実施である.そして地域精神衛生とは精神障害者の医療に関していえば,入院外の医療を目標とし,それを推進しようとするものである.つまり入院診療とは対照的ないき方をするのが,精神衛生センターの精神医療に関する目標なのである.しかし誤解してはならないのは,精神病院のいき方に反対し,対立する勢力として,敵対して業務を行なっているというわけでは決してない.精神病院との協力は絶対に必要であり,入院診療を拒否するわけでもない.入院診療と密接な協同があってはじめて,地域精神医療が実践できるのである.
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