特集 病院に残る古きもの
病院に残る古きもの・1
臨床大家と病院長
尾村 偉久
1
1国立小児病院
pp.30-32
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204175
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
‘病院に残る古きもの’の1項目として本題が取り上げられたが,この項目に関するかぎり,わが国の現状では,古きものとして一部に残存しているというような生やさしいものではなく,社会全般の基本観念がいまだそこに停滞している状態であるといえるように思う.ただ本題の論述者として私に白羽の矢を立てられたことは,私が三十余年前にわずかに数年間の臨床医としての経験を有する以外は,もっぱら衛生行政,特に病院統括の行政に従事したうえで,この7年前から本題の標的となっている病院長--病院管理者になっていることがその理由ではないかと推察しているのであるが,実は臨床大家であってしかもりっぱな病院管理者でもある多くの先輩を知っている身にとっては,まことにつらい役割でもあり,また我田引水のそしりをまぬがれないことと,大いにちゅうちょしたしだいである.
しかしながら本題がわが国病院管理の改善発展に関する基本的な課題として常に問題となっていることを思えば,社会一般の啓蒙という意味であえて筆をとるしだいである.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.