--------------------
病院長に愬う
山本 美智子
pp.6-9
発行日 1952年7月1日
Published Date 1952/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200507
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ある看護婦學校の學生に,「病院で一番大切に考えなければならないのは,誰か」を看護倫理の試驗問題として,きいて見たら,「病院長」というのが,過半數を占めていたとの事です。この答を正解としたか,間違いとしたか,どうかについては,はつきりと聞かなかつたのですが,私は,これは考えさせられる問題だと思う。大切,といふ意味のとり方にもよりますが少くとも,病院の目的が,社會の患者を診療し,看護して,健康の恢復を計り,更に進んで人々の健康増進への貢献であつてその事が明確に,看護婦學生に教え込まれて居り,また病院の運營が,實際に其の目的達成のために行われておれば,この問題には,「患者さん」と學生はすぐ答えたでしよう。しかし實際のところ病院が,誰のために存在しているのか,病院職員の多數が,よくわかつていない現在では,看護婦學生だけを,それだからといつて責めることは無理というものでしよう。
試みに,病院の職員に,病院の目的は何ですか?ときいて見たら,幾人が正しく答える事でしよう。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.