救急医療に関する研究・3
救急病院の救急専用処置施設について—救急機構調査(1)
岩本 正信
1
1東北大学病院管理学教室
pp.87-92
発行日 1970年9月1日
Published Date 1970/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204083
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一般診療の流れを一時中断させる妨害,一般患者に対する心理的影響などからいっても,そして負傷者が重症化の傾向にあるとき,医療の本質からいっても救急患者だけの専門的・総合的で迅速に治療の行なえる病院の組織と設備が必要になっているのであるが,低医療報酬下にあって設備の遊休配置を行なうことは困難なことであり,全体として救急患者専用施設設置率は低く,救急部門の使命の一部あるいは大部分を平常の診療部門に背負わせている,経営主体別には公的病院の設置率が高く,病床規模別には大規模になるほど設置率が高くなる傾向がある.
しかし,救急患者受け入れ数との関係をみれば,私的病院に比して公的病院の受け入れ数は少なく,また病院規模が大きくなれば受け入れ数が多くなるという相関も弱く,設置率の増減と受け入れ数の増減とは逆の結果を示しており,救急室の設置が救急患者を誘引する直接的影響とはならないようである.
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