救急医療に関する研究・4
救急病院の救急患者専用病床について—救急機構調査(2)
岩本 正信
1
1東北大学病院管理学教室
pp.61-64
発行日 1970年10月1日
Published Date 1970/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204122
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救急患者の病床需要を予測することは容易でない.したがって,救急病院の都合のうえで専用病床数を定め,‘救急病院等を定める省令’の基準を満たしているにすぎない.そのため専用病床数の過不足が生じている.また専用病床管理の方式も①専用病床を一般患者に提供する病院②救急患者以外には使用しないとする病院の2つの型がある.後者の病院は救急患者来院数も多く,救急医療に対する協力度の高い病院であって,そのほとんどが満床による空床確保の困難を訴え,後療病院およびリハビリテーション施設の設置を望んでいる.前者については後者に比して救急患者来院数も少なく,いつ来院するかわからない救急患者のために空床を確保しておく経済的な困難を訴え,空床確保に対する財政的補償を望んでいる病院が多い.しかし,このような専用病床を保有している病院は全体の35.2%にすぎず,大多数(64.8%)の病院は③一般病床のなかの空床に適時救急患者を入院させる病院であって,専用病床を一般患者に提供する病院もだんだん専用病床と一般病床との区別ができなくなり,この型に移行する傾向が強い.
しかし,救急の目的からも,医療の本質からいっても他の部門への悪影響を避けるために,救急患者専用病床は考えられなければならない.
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