精神病院の管理・9
精神病院の特殊病棟—小児精神病棟を中心として
藤原 豪
1,2,3,4,5
Takeshi Fujiwara
1,2,3,4,5
1東京都立梅ケ丘病院
2日本医科大学精神科
3日本精神神経学会
4日本児童精神学会
5病院精神医学会
pp.59-64
発行日 1970年9月1日
Published Date 1970/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204074
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はじめに
昭和42年5月,私どもは全国の精神病院,大学付属病院,総合病院精神科,合計955病院に対して小児(14歳以下)の入院患者について調査をした(この結果については同年の日本精神神経学会総会に報告した).
私どもが調査にさいしてどうしても知りたかったのは,全国にどのくらいの数の小児精神障害の入院患者がいるのか,そしていったいどういう形で入院し,どういう環境にあるのか,実際にどういう治療を受け,どういう取り扱いをされているのか,ということであった.調査に応じたのは955病院中326病院で34%であった.結果は表1のごとく,小児のための病棟(病室)をもつものは24病院,定床数は712床にすぎない.そしてこの24病院のうち小児のための特別の配慮や設備,治療教育のための設備のあるものは17にすぎない.この調査は昭和41年から42年までの1年間にかぎったものであるが,この1年にかぎらず,昭和42年5月までに小児を1回でも入院させた経験のある病院は326病院中262病院にのぼり,これは実に調査に応じた病院の88%にあたるものである.すなわち,大部分の病院は成人病棟の中にやむをえず小児を入院させたということである.
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