英国国営医療研究メモ・1
I.国営医療前史—A.労働者の自衛的互助組織—友愛組合時代 産業革命(1760-1830年ごろ)から国民保険法成立(1911年)まで
pp.66-67
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203852
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昭和42年夏,英国国営医療(the National HealthService,国民保健事業あるいは国営医療事業)を同国の資本主義や福祉政策の発展を背景に勉強するため英国へ旅立った.当時,健康保険,特にその赤字対策をめぐり議論が沸騰していた.やがて健保特例法が成立したことを知った.2年後の昨44年夏帰国し,新聞をひろげるとやはり健保のことが出ている.2年前の新聞を見ているのではないかと錯覚する.この領域では,この2年間に議論や混乱はあっても進展はなかったようである.政府は"医療保険抜本改正"という宿題ができ上がらず,"特例法"を延長するような"健保法改正案"を強行採決で通した.健保問題は,一時異常国会で引きつづき強行採決された"大学法案"の影になっていた.
しかし,70年代のわが国の運命を決する沖繩,安保問題を中心に戦かわれた選挙戦が激しさを加えたころ,‘中医協’における医療費をめぐる政治的かけひきも活発化し,再び‘健保問題’の泥沼ぶりをわれわれに印象づけ,この問題の解決も70年代にもちこまれた.健保のみならず,わが国の医療全体が現在の混迷から抜け出す抜本的改正の途をどこに求めるべきか.
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