英国国営医療研究メモ・3
I.英国国営医療制度成立前史—B.国家的強制医療保険時代 国民保険法成立(1911年)から国営医療法成立(1946年)まで(続) 2.国営医療への道おもな提案について
姉崎 正平
1
1病院管理研究所
pp.74-75
発行日 1970年3月1日
Published Date 1970/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203904
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国民健康(医療)保険(1911年制定された医療および失業保険から成る国民保険法は1924年健康((医療))保険法と失業保険法に分かれた)は,既に指摘した幾多の限界とともに,医療費(傷病手当金を含め)の保障あるいは補助に関する制度にとどまり,総合的な医療行政を欠いていた.そのため医療衛生行政を専門に担当する中央官庁設置の声があった.その実現は,第1次大戦が終盤にはいって設置された‘戦後復興計画に関する委員会’や‘復興省’での課題であった.さらに同大戦での徴兵検査における多数の医学的不適格者や1918年から1919年にかけての流冒の猛威により,既存の‘地方自治庁’の片手間の衛生行政の欠陥が暴露されるという苦い経験に促され,1919年保健省が創設された.
保健省創設後ただちに保健大臣は‘医療およびその関連事業に関する将来計画’を答申させるたせるためドーソン卿を委員長とする委員会を任命した.この委員会は,翌1920年中間報告として,いわゆる"ドーソン報告"を答申した.これは1946年の国営医療法案までの国営医療に関する幾多の提案の嚆矢であった.
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