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—大森 文子・吉武 香代子 著—「婦長必携」
増田 澄江
1
1国立金沢病院
pp.23
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203789
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婦長の自己評価のための書
本書を一読し,いちばん強く印象づけられたことは,「婦長の自己評価のための書である」という点である.
長と名の付くものの貴任の重大さ,それはどんな少数であろうと.何人かの人間の運命を預る立場にあるからで,長のあり方により,そこで働く人間の能力は左右されるとまでいわれる.とくに病棟婦長の立場は中間管理者として,総婦長の方針をスタッフに伝え,スタッフの要求を総婦長に伝えるパイプの役割を持ち,婦長の伝達能力のいかんにより,パイプは上下に十分な機能を発揮することができる.その点本書は,婦長はいかにあるべきかを克明にとりあげ,事例を加えてわかりやすくまとめられているので,婦長業務の手引として,またナースや学生の管理テキストとしても,好適であると思う.病棟婦長であれば当然知らなければならないことを,私たちはあまりにも知ろうとしなかった.しかし現在管理責任を持つ多くは,そのことに少なからず行きづまりを感じているのではないだろうか.
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