病院の広場
精神病院の機能
松井 紀和
1
1山梨日下部病院
pp.17
発行日 1969年11月1日
Published Date 1969/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203787
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精神病院くらいいろいろな方式や運営がなされているものは,他の科にはちょっとないのではあるまいか.こういう多様性は,医学が進歩したからか遅れているからかは,ちょっとむずかしい問題で,一概にこうだとは言えない.医学が発達していけば,ある一定の最低線はレベルアップされていくことは予想されるが,しかし,それでもなお多様性は残っているというより多様性を増すかもしれない.そこに精神病院のひとつの宿命的なものがあるように筆者は感じている.これは決して困ったことではなく,むしろこの傾向を機能分化として進めていくほうが有益ではないかとすら考えている.
ある方式が現代のトップレベルだとして,各病院がそれに右へならえというのでは,なるほどある一定線は保持できようが,もっときめの細かい医療は望めないように思う.やはり病院運営にあたる者やそこに働く医療担当者の得意,不得意なども考えて,ある一定線以上のことは特長を大いに生かすような方式がとられるほうが患者のためにも望ましいであろう.ただし患者側の適応が十分考慮されて適正に配置されるよう,地域全体としての病院間の連絡協調がスムーズにいくという前提がなければ,このやり方は生きてこないのは言うまでもない.
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