病院の広場
"良い病院"たらんとして
福島 高文
1
1市立むつ病院
pp.17
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203632
- 有料閲覧
- 文献概要
"良い病院"とは
病院は開設者・患者・病院職員の三者からなっているが,ここで"良い病院"とは,何であろうかと考えてみる.開設者の場合は大いにもうけて,財産をふやし,彼らの政治的な面までも満足せしめられればよい.患者は質の良い医療が提供され,費用が安く,親切でサービスがゆきとどいておれば"良い病院"というであろう.
病院職員は俸給が高く,地位が安定し,労働が厳しくなく,自分の職業的意欲をかりたてる職場であればよい,こうなってみると,これら三者はたがいに利害が相反している場合が多く,その調和のとりかたがきわめてむずかしい.すなわち開設者がたいへんなお金持ちで,施設の費用を出すとか,病院会計の不足分を十二分に繰り入れてくれるかしなければ,なかなか三者をともに満足させてくれはしない.ことに病院が独算制を強いられ,病院建設費までも病院会計でもたされている現状では,患者や病院職員にしわよせしない方策は,いくら院長が敏腕であっても成り立つものではない.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.