研究と報告【投稿】
回復室,I.C.U.,急患室の総合的運営—10年間の経験を中心として
本松 研一
1
1九州厚生年金病院麻酔科
pp.87-93
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203310
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はじめに
手術直後の患者,重症患者および,急患患者はいずれも,容態の変化が急激で,死に直結することも多く正確な判断のもとに,機敏な処置をする必要がある。もちろん,医療に携わる人は誰でも,その処置に通じていなければならないが,訓練された人々が特殊な施設を使って,治療すれば成績はさらに向上するはずである。
これらの患者は欧米では,それぞれ,Recovery Room (回復室),Intensive Care Unit (集中強化治療室=I. C. U.と略す),Emergency Room(急患室)に収容されているが,この三者は施設,運営の面では種々共通しているところが多い。患者は全科におよび,また,一人でいくつかの科に関係する者もあるが,治療は病気の本質に対する特異的な治療とともに,一般状態の改善に努める非特異的な治療が重要になる。輸液,輸血,酸素吸入,気道の確保,気管切開,気道内吸引,人工呼吸,心マッサージなどが頻繁に行なわれる。必要な施設や看護要員は一般病棟より密度高く必要となるが,逆にベッドの回転は計画的にいかず運営にはかなりむだが多い。したがって,これらの施設の必要性は強調されているが,欧米のものをそのままわが国に受入れることは困難で広く実施されるにいたっていない。
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