随想
ある夜の急患室
園部 梅
1
1東京厚生年金病院
pp.45
発行日 1964年11月1日
Published Date 1964/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202455
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オリンピックも目前に迫り,どこの建設会社も全力をつくして,夜を日についでの突貫工事にかかっている最中の出来事であった。私はすでに勤務時間も終わり,ほっと一息入れて,猛暑のため遅れがちなきょうの仕事を整理していた。先ほど準夜婦長と卒業生があいさつして,それぞれの任務につき,卒業生は外来より急患室の引き継ぎを終わり,折柄けたたましいサイレンを鳴らしながら到着された患者の処置を担当医とともにはじめている様子。そのうち何台かつづいて救急車がきたと思ったら,隣の夜勤婦長室が何かただならぬけはいなので行ってみた。各病棟から準夜婦長にレポートにきている卒業生たちが婦長の姿が見えないので,困っている模様であった。私が代わって取りあえずレポートを受けていたが,なかなか時間が過ぎても夜勤室に帰へってこないので,これはきっと急患室が忙しいので,手を離すことができないのだろうと思い状況観察と手伝いのためエレベーターで1階まで降りてきた。
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