特集 新生児室の管理
看護単位として独立していない新生児室の看護
笠原 トキ子
1
1関東逓信病院
pp.41-45
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203303
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はじめに
新生児室の看護単位を独立してほしいという私の願望は,昭和26年はじめて産婦人科婦長として愛育病院に就任したときからのものである。当時愛育病院では新生児室が作られてはいたもののそれは名ばかりで,他のすべての病院と同様に新生児を母親の付属物として考えていたためベッドの定数は認めていなかった。したがって新生児室に対する看護婦の定員はなく,産婦人科全体が1看護単位とされその中から新生児室に看護婦を配置しなければならなかった。新生児室では夜間勤務の場合にも仕事量は昼間とほぼ同じであるのにもかかわらず,さらに人員が減るので産婦人科勤務者の業務負担は他科の看護単位の数倍となるのは当然である。ところが昭和29年に関東逓信病院に赴任してみるとその当時の産科看護婦の仕事量は愛育病院以上であり,労働条件の最もよいといわれた電々公社の病院として期待してきただけにおどろいてしまった。
しかもこの負担は分娩室と新生児室を持つ産科勤務者にのみ負わされたものであった。病院が建設途上にあって設備のととのわないうちに分娩数の増加したことがその主な原因ではあったが,20床の新生児ベッドは連日満床。しかも新生児室には混合病棟の中の個室2部屋があてられているだけで保育器すら満足なものは設置されていなかった。
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