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—和田 敬=編集—「心電図と5人の読みかた」
木村 登
1
1久留米大
pp.25
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203141
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勇気をもって心電図に立ち向う
先般医学書院から刊行された「心電図と5人の読みかた」は一見の価値がある。たった1枚の心電図からの推理だが,この道の第1線で指導的立場におられる5人の方々が,時にはちがったアプローチから,実にみごとな結論にもって行なっておられる。なにもインフォメーションなしでのたった1枚の心電図からその人のすべてのことがわかるわけがないので,100%あたったとすれば,ギャンブル的なものが大きくきいたことになる。したがって診断があたるかどうかが問題ではなく,5人の方々が推理をすすめてゆく過程に興味があるし,この木から学ぶべきものがある。
心電図にかぎらずいろいろの検査資料からある結論を出す場合にはいつもそうすることが必要だが,沢山の一寸した変化の中から,どれが重要なものにつながる変化であるかをスクリーニングすることからはじまる。そして,そのよりだした重要なものにつながると思われるものを材料にして組立てたものがどの状態のイメージに適合するかを次々に検討してみる。これが推理の過程である。この本は5人のこの道のエクスパートの推理の仕方を学びとる機会を私どもにあたえてくれている。
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