病院の広場
勤務医確保の一試案
小山 三郎
1
1大阪赤十字病院
pp.13
発行日 1967年8月1日
Published Date 1967/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203138
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医療の中心は医師にある,病院は患者を収容し医療を施す場である以上病院の中心は医師にある。近頃勤務医の不足の声をしばしば聞く。ことに小都市にその声が高い。私達の病院は常勤123名非常勤30名の医師を抱えた大世帯だが,やはり医師の補充がことにクライネファッハでは困難である。当院の常勤医師は卒業後10年以内34名,11〜20年40名,21〜30年30名,それ以上19名で卒業後21年以上のベテランが半数近いのに10年未満の数が案外少ない。これは一般的傾向でその理由の第一は収入が少ないことであろう。開業医に比べあまりにも少ないため開業するケースが多い。また近頃では大学の医局でもアルバイトの機会が多く週数日で,ほとんど勤務医と同額の収入が得られると聞く。大学在籍はよい履歴にもなり,研究をしながら比較的自由な勤務で収入も相当あるとすれば何を好んで時間に縛られた忙がしい勤務医になるだろうか。管理者は勤務医に魅力となるものを与えねばならぬ。勤務医にとっての魅力は適当な指導医がいて,修練の対象となる患者が豊富にあり,整備されて学問的欲求を満たす医者らしい良心的診療ができて,研究の指導者と施設(図書室を含め)と時間があること,それに収入が多いことであろう。しかしこれらの内には5年10年経つと失なわれる魅力もあり,いつまでも下積の医師として勤務することは望まれぬ。
元来勤務医の役職には院長,副院長,部長,副部長がある。
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