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—菅谷 章著—「看護労働の諸問題」
佐口 卓
1
1早稲田大学
pp.37
発行日 1967年6月1日
Published Date 1967/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203105
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実態の分析から問題を摘出
看護婦が,その高い職業理論をもたねばならず,またもつことが要請されても,今日の社会にあっては基本的には婦人労働者である。この職業倫理と労働者とを対立的にとらえることから多くの問題が発生しているとみてよいであろう。そして多くのばあいに,この対立が管理者と従事者のそれとなって現われてくるところに困難な事態があったとみられる。だが,職業倫理の要請は適正な経済的条件の裏づけによって可能となるし,まずもってこの対立的関係をとぎほぐしていくことからはじめられねばならない。
いま看護婦をめぐる諸問題をとりあげるときに,以上のような視角をもつことによって,いうなれば社会科学的な問題のとりあげ方によって,今日の意義を明らかにすることが可能であると思われる。この点では従来は一部の評論家などによって断片的にとりあげられたにすぎなかったが,今回は菅谷氏によって全く専門的領域にふみこんだ著書をまとめられたのであって,関心をもつものにとってまことに喜ばしいことである。
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