連載 現代の看護労働試論・1【新連載】
I.看護職者の労働条件の実態とその諸問題
宗像 恒次
1
1日本看護協会・社会学
pp.571-581
発行日 1975年9月10日
Published Date 1975/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205638
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1.労働時間に関する諸実態とその問題
まず最初に労働時間についてであるが,月平均実労働時間に関する資料(労働省"賃金構造基本統計調査",日本看護協会"保健婦・助産婦・看護婦会員実態調査")を概観すると,看護職者(看護婦・准看護婦)の実労働時間は昭和39年,42年,45年,46年と波はあるが,一般の女子労働者と同様逓減してきていることがわかる(表1)。又,規模別格差をみても,100人以上の勤務場所に勤める看護職者と100人以下のところに勤める看護職者との間には,依然として月平均5〜10時間の格差があるが(表2)――特に准看護婦の場合にはその格差が大きい――徐々に縮少されつつある(表3)。
又,これを経営主体別にみると,国立と私的施設の改善の遅れが特に目立つが,ほかの経営主体はおおむね改善されつつある(表4)。従って,表5を見ればわかるように,他職種と比べてみてもそうとりたてて長い方ではない。保健婦に至っては,表1・表5にあるように,他職種に比べても比較的恵まれた条件にある。しかし,後程詳しく述べるように,看護職の場合,夜勤や非常時の出勤が業務上不可避的に伴うという特殊性があるので,これを考慮すると,単純に労働時間の長さだけを取り上げて他職種と比較しても妥当なものとはいえない。
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