Hospital Topics 特殊病院
結核の長期療養
柳瀬 正之
1
1厚生省医務局国立療養所課
pp.85-86
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202409
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調和のとれた社会的および身体的な条件によって構成された心理的な場の上にpsychological overlayされた健康時の心理状態が,結核の発病によって社会的にも身体的にも破綻し,歪んだ形態をとり,経済,愛情,社会生活の不安に加えて,長期療養による自律神経系の変調が,患者の気分や心理を複雑にする。「男5年,女3年」と患者たちは自嘲する。男なら5年,女なら3年療養していれば,まず離婚されるという意味である。
1944年にワックスマンがSMを発見してからちょうど20年になるが,今から10年前の国療の治療状況をみると,昭和29年7月1日の「結核の治療指針」改正の前後で,化学療法の適用範囲が大いに異なり29年4月と30年3月をくらべるとPASの使用患者は58179人中13893人(23.9%)が57899人中31938人(55.1%),SMは12034人(20.7%)が19419人(33.5%)INAHは3587人(6.2%)が15150人(26.2%)に増加している。PAS,INAHの二者併用患者がいちじるしく増加し,単独使用は減少の傾向がみられた。
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