特集 医療社会事業
医療管理と医療社会事業
金久 卓也
1
1鹿児島大学
pp.20-25
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202321
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1.
私は精神身体医学の角度から,内科学を見直してみるといったことをしている者のひとりであるが,本日はその観点からみて医療社会事業というものが,病院の医療管理上必要不可欠の要素であるということについて述べてみたいと思う。
精神身体医学の角度から病人を眺めてみると,第1図に示す通り,病気を3つのカテゴリーに大別できると思う。第1は,疾病の発生上身体因子が主役を演じている場合で,これがいわゆる身体病(somatic disease)である。この場合も,たとえば心理的ストレスが長くつづいて肺結核症が発生するといったふうに,心理的因子が多少とも病原的に働く場合がしばしばであるが,病気の主因は身体学的な因子であるということになる。一方の端には疾病の発生上心理因子が主役を演じている場合があり,これを身体病に対応させて心理病(psychological disease)と名づけてみるとすれば,その代表的なのが神経症であるといえる。第3にちょうど両者の中間に位置し,身体因子と心理因子がほとんど同じ比重で働いて,疾病の発生あるいは持続を条件づけている場合が考えられる。これがいわゆる精神身体症(psychosomatic disease)であると私は考えている。気管支喘息などその代表的なものである。
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