特集 綜合保健活動と保健従事者
医療社会事業技術職員
村山 午朔
1
1日本医療社会事業協会
pp.474-475
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203093
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■わが国の医療社会事業従事者養成の現状
社団法人日本医療社会事業協会では,吉田ますみ副会長が医療ソーシャルワーカーの教育を担当しておられるが,この仕事に特に関心をもっている一医師として,意見を述べてみたい。
わが国の現状では,医療ソーシャルワーカーの身分並びに教育制度は,まだ確立していないので,一般にその教養は低いという批判を聞かぬでもない。専任のソーシャルワーカーでも,7〜8割位までは,保健所,病院などの保健婦,看護婦,事務職員などから厚生省などが主催する2〜3カ月の医療社会事業従事者養成講習会における養成課程を経たもので占めている。そして近年ようやく各地の大学または短期大学で,社会福祉に関する学科を修めて卒業したものが相当就職するようになってきたことは喜ばしいことである。しかしこうした大学卒業者も,現状では社会福祉学科を修得したというだけで,医療社会事業に必要な医学その他の専門科目を修めていないのですぐ仕事にならず,悩んでいる岩い人々が少くない。わが国の特異な現象かあるいは医師の理解の不足によるというか,兼務でやっている医療社会事業従事者がすこぶる多い現状である。これらの中にも一部優秀な専務者に等しい人もいるが,この仕事が兼務でできるようななまやさしい仕事ではなく医療社会事業に対する教養の程度も論外であり,こうした兼務者の多いことによって,かえってわが国の医療社会事業の進展を妨げているといってもよい。
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