特集 医療社会事業の役割
談話室
医療社会事業とはなにか
浅賀 ふさ
1
1日本福祉大学
pp.126-127
発行日 1968年3月15日
Published Date 1968/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203630
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医療社会事業(MSW)とは
医療社会事業とは,保健・医療の場における社会事業としばしば定義づけられてきたが,場という表現を狭義に解釈せず,むしろ保健・医療プログラムの中のチームの一環として機能する専門社会事業の一分野と解したい。現在アメリカにおいては医療・保健の臨床場面に限らず政府機関や社会保障の各プログラムの中に明確化された位置と役割をもち,社会福祉事務所に相当する一次社会事業機関にも配置され,被扶助患者を扱って効果をあげている。わが国でも生活保護行政の癌ともいわれてきた医療扶助をもっと効果のあるものとするためには,これをとり入れるべきであろう。現在わが国のMSW配置状況は病院1,900名,結核療養所340名,精神病院300名,保健所339名,精神衛生相談所31名,衛生部?を数えている。準専任を加えて専任わずか45%(病院)1),保健所にいたっては,ほとんどが保健婦か事務職員の兼任であって名目上つじつまを合わせているのみである。保健所と地域を同じくする社会福祉事務所がかかえている66万余2)の医療扶助患者の76%は自宅患者であることを考えただけでも,保健所のMSWは充実されるべきである。
MSWの法的根拠は,わずかに保健所法第2条第6号の規定(MSW)と精神衛生法第42および43条の規定(PSW)があるだけで,MSWの身分法は未だ確立していない。
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