特集 医療社会事業
病院管理上からみた医療社会事業の活用
桂 重鴻
1,2
1岩手県立中央病院
2新潟大学
pp.15-19
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202320
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1.はじめに
医療社会事業は成り立ちの初期には貧民救済を主な目的としたが,いまでは患者の経済的方面の援助手段を考えてやることのほかに,進んで患者(広くクライエント)の社会的,家庭的,情緒心理的問題の根本をさぐって,患者に対する医師の診断,とくに精神身体症または精神症の診断に資料を与え,また心的の悩みに対する相談相手となって,医療に協力することが大切な役目となっている。しかし一般的には医療社会事業士(Medical Social Worker, MSW)の仕事,とくに心理的方面の労作援助によって,診療に協力する任務がMSWに課せられていることを認識する人は甚だ少ないように思われる。私の任地岩手県は,東北6県のうちでは最も多くの日本医療社会事業協会の会員を有する県であるにもかかわらず,周囲を見わたしてこの認識不足の感を深くさせられるものがある。ここには,1962年外遊のおりに訪問したPresbyterian Hospitalの医療社会事業と岩手県立病院の医療社会事業の状況を比較して,この事業がいかにあることが望ましいかというようなことにつき私見を述べてみたいと思う。
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