特集 患者への心づかい—T.L.C.
T.L.C.への関心
吉田 幸雄
1,2
1病院管理研究所
2本誌
pp.17-18
発行日 1964年3月1日
Published Date 1964/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202299
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本号はT.L.C.の特集とした。T.L.C.という言葉は本誌上はじめて現われたことばであるので,眼あたらしいと思われる読者もおられるであろうから,いささか解説めいた私見を述べてご参考にしよう。
T.L.C.とはTender Loving Careということばの略語である。すなわち,「患者を優しく親切に扱うこと」の問題である。いうまでもなく,患者は肉体的または精神的に病変がある。その病変を正常な状態に戻してあげることが病院医療の本質的な重要な課題であるが,しかし患者はその傷病に伴って,病苦というものに悩まされ,その苦悩を誰かの手でやわらげてもらいたいと思っている。この苦悩の救い手は医師であり,看護婦であり,病院全体である。患者は傷病の本体を含めて,この苦悩の救いを求めて病院に訪れ,病院に身を横たえているものである。この苦悩という患者の心情を対象として,救いの手を差しのべる処置の問題がこのtender loving careである。
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