特集 中央検査室
検査技術員の教育・養成
柴田 進
1
,
宮地 隆興
1
1山口医科大学臨床病理教室
pp.27-31
発行日 1963年6月1日
Published Date 1963/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202138
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ふりかえり見れば私が臨床検査室で働く様になって既に17年になる。その間運営を担当する者として骨を折ったのは器械・器具の購入,技術の改良,部屋の設計など沢山あったが,最も苦心したのは優秀な技術員の養成であった。すべて物事はそうであるが,殊に臨床検査室はそこで働く適格な人物を得なくては全く運転出来ないものである。
初期の時代に私はこう考えていた:--技術員としては男子よりも女子の方が望ましい天性を持っている。だから料理と裁縫の好きな地味な若い女子を選び,検査技術の手ほどきをしてやれば2〜3年のうちに立派な技術員にそだて上げることができる。しかし経験を積むにつれて技術貝の養成がその様ななまやさしいことではないと感ずる様になった。そして4〜5年前にはとうとう"従来の徒弟制度による技術員の養成は時代おくれになった。どうしても系統だった教育によって基礎的知識と多面的な検査技術を身につけた均整のとれた技術員が必要である"と考えるに至った。山口医大臨床病理部の主宰者として私は当時運営上の大きな壁にぶつかっていた。年々職を退いて去って行く2〜3人の技術員を補充するため新しい素人の女子を雇い,彼等に技術を教えることをくりかえしていたのであるが,これらの人々が一人前になって能率をあげてくれるまでには2〜3年間順々に検査の場所をかえてローテートさせて指導しなければならなかった。
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