私の病院の試み
病院会計方式の考察と二,三の改善策
安田 幸男
1
1樋口胃腸病院
pp.921-929
発行日 1958年11月1日
Published Date 1958/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201439
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会計方式の分析
病院会計事務と云つても普通の会計事務と特別違つて居るものでありませんが細部に亘つてはやはり病院に取つて或は更に少さくは自己の病院に取つて最も簡単で然かも確実な会計方式がある筈であります。そして其れこそ病院会計事務と云う事が出来其の方式を立案する事が我々会計管理者の任務であります。理論的に如何に優れて居ても又或る企業では理想に近い成績を上げて居る会計方式であつても其れが全部の企業に100%の合理性を以つて適用されるものではありません。まして他の産業の会計方式をそのまま病院会計に当はめる事は徒らに混乱を招き労して効少なき結果となる事は明らかであります。兎角会計担当者は理論や理想にとらわれ,会計の為の会計や統計の為の会計になり勝ちとなり,勘甚の会計管理の機能がぼやけ必要以上に事務を複雑にし為に誤記や間違を多くし却つて能率を害すると云う事が間々起るのであります。
会計方式は普通発生主義的記録による簿記方法が用いられて居りますが,此の特徴は日々の資産増減の状態を迅速確実に把握出来る事であり,近代の企業経営に広く取り入れられて居ります。
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