第5回樫田賞受賞論文・2
coagulase陰性staphylococciについての二,三の考察
奥住 捷子
1
1東京大学病院中央検査部
pp.607-611
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917380
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はじめに
Bergey's Mannual of Determinative Bacte-riologyが17年ぶりに8版が出版1)され,ブドウ球菌の同定に関するBergeyの8版の解説2〜4)も既に多く報告されている.7版ではStaphylo-coccusの分類同定にcoagulaseが主な指標となり,coagulase(+)の株をStaphylococcus au-reusとし病原性,(−)の株をStaph.Epidermi-disとして非病原性と言われていたが,8版においては前2者の他にcoagulase(−)のStaph.saprophyticusが加えられている.臨床細菌検査室で細胞壁の組成などが調べられない現状では厳密な意味でのStaph.epidermidisとStaph.saprophyticusの分類同定は難しい.
またStaph.epidermidisをBaird-Parkerの提唱により生物型として1,2,3,4の4型に分類している.Staph.epidermidisの生物型と病原性の関係についてMales6)らの報告もある.今までStaph.aureus以外のStaphylococcusは非病原菌とし,多くは汚染菌として処理されていた.
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