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診療,他
Y
pp.931-939
発行日 1958年11月1日
Published Date 1958/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201440
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ウイルス・センター
日本脳炎,ポリオ,インフルエンザを始めとしてウイルス病の種類は毎日の臨床上重要な部門を占めている。ウイルス病はリケツチア症を含めて,これらの探究には国立予防研究所,各大学の基礎教室及び附属研究所の他に各種の機関が当つているわけであるが,従来の細菌学に対してウイルス病の検索には操作上の難関のために研究面における業績はあがつているが,実際上医療機関においては血清診断をいくつか実施する程度で,あとは臨床所見並びに抗生物質の効果による総合判定が行われているに過ぎない。非常に興味ある例にぶつかつた場合でも,そのウイルスを同定するという仕事は到底現在の病院では実施出来ず,ただ材料を汚染しないようにして上記の研究機関に送り届けるのが精一杯である。たとえ研究機関に送附した場合でも赤痢菌を糞便中からまたは結核菌を喀痰中から検出するようにポリオやインフルエンザウイルスを簡単に分離同定するわけには行かないのて最終決定には3カ月〜6カ月を必要とするのが現状である。爆発的流行のような疫学上の問題が生じた時などは公衆衛生上各研究所が積極的に動き出す場合もあるが,個々的の臨床事例を取り扱うということは実際上病院内である程度の処置をやろうとしなければ,やはり現行の如く特定の施設に懇請するということになろう。
ここで病院が互に手をとり合つて特にウイルス病の検索に当るならば,誠に好都合であると考える。
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