クロスビー博士隨行記
共に過した1週間の旅行
岩佐 潔
pp.169-173
発行日 1957年3月1日
Published Date 1957/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201206
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クロスビー博士は北海道から戻つて翌日の日曜を休んだ後,また忙しい日程が待つていた。5日は早朝から清瀬の多摩全生園を視察に出かけた。この日は秋晴のよい天気で患者の造つた菊がこの癩患者の村を美しく飾つていた,博士は此所の患者達の運命について深い感銘を受けると同時に健康の有難味について思を新にしたと言うことを帰りの車の内で語つていた。研修所に帰りつくと医務局の幹部が待つていて此所で保険や病院計画についての懇談会が行われ,昼食をする暇もないほどであつた。この懇談会が十分結論にまで達しない内に時間が来て2時からは病院建築に関するパネル・デスカツシヨンが始まつた。これが済むと夜は夜で病院建築協会幹部との懇談会,全く寸暇もない1日であつた。日程作成者の1人として少々これは博士に対して申し訳なかつたと感じ出したのはこの頃からであつた。せめてもの幸は6日の大阪行の汽車を変更して午後の飛行機にしたことであつた。
約束の1時半に博士夫妻は帝国ホテルのロビーで待つていた。
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