診療設備基準・6
物療室の機能と設備
橋倉 一裕
1
1国立東京第一病院整形外科
pp.193-202
発行日 1957年3月1日
Published Date 1957/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201209
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
いとぐち
物療科は医療法で理学的診療科という名称のもとに独立科として設置を認められているにもかかわらず,従来わが国の病院で単独に一科を構成しているのはわずかに国立東京大学の物療内科を教えるのみで極めて未発達の分野となつている。従つて物療室(理療室といつた方が適切かもしれないが一応従来の習慣に従つて以下こう書く)は従来診療各科の附属的施設に過ぎず,あるいは相当の大病院においてすら物療室としてまとまつた施設を有しておらず,わずかに数種の物療設備を診療各科に分散して設備する程度であつた。しかるに諸外国においては物療科は独立した医学の専門分野として既に確立され,これを専攻する医師は物療専門医としての資格を認められている国が少くない。特に近年物理工学の長足の進歩にともない,これを医学の分野に応用することによつて幾多の斬新な診断治療法が樹立され医療の実際面にとり入れられつつある現状に鑑み,わが国においても近い将来に物理療法が各診療科の隷属的地位から独立して,恰も放射線科のごとく独立科と認められる可能性が極めて多い。そこで本研究においてはこのような医界の趨勢を顧慮し,従来非常に遅れていたわが国病院の欠点を改革する意図をもつて現状より些か高い基準において施設々備の水準を検討してみた。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.