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Doctors' Taperecord
pp.73-74
発行日 1955年4月1日
Published Date 1955/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200949
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年寄制度
角力取の社会に年寄制度と云うものがある。仲々よく出来た制度で,流石は長年の伝統の結果だと思われる。しかし近年時々出羽の海親方事件とか其の他新聞の問題になつている点はやはり,古い制度が近代社会にシツクリしないものがある為であるまいか。
元来,年寄制度とは一種の長老制度である。長年現役の力士だつたものが適当の年になつた時に,一種の株を買えば一生楽に喰わしてもらえる,と云う制度らしい。角力の社会程実力が物を云う社会はない,どんな,天下無敵の横綱でも,二,三場所黒星がつづけばその位置に止つている事が出来ぬ。この様な社会には必ず,何か養老制度がないと,安心して角力を取つているわけには行かぬ。一般にこの様な制度のない小売業者では,一定の年齢迄に,資本をためてあとは資本で喰う事が出来た。大会社の職員や役人は適当な時に天下り重役になつて,それまでの顔で結構食つて行く事が出来た。
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