読者の声
「ベツトより見たる病院の種々相」を讀んで
山田 芳一
1
1国立奈良療養所
pp.63-64
発行日 1956年2月1日
Published Date 1956/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201071
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本誌5月号のベツトから見た病院の種々相なる千種先生の短文を読んで,筆者に捧げたいと思う。この短文は先生の云われる様に確に病院の虚を衝いて居る。而もこれは先生の入院されて居た病院だけのことではなく他の多くの病院の運営について共通の死角を衝いて居る処に意義がある。この短文を読んで私もそうであつた様に「痛い」とは思つても不思議と反感は起つて来なかつたのである。丁度それは腫物にメスを入れられた感じである。看護室の「火気取締り責任者」「このサービスはどう思う」については多少異議なしとしない迄も,サバサバした気持であり又慈父に叱られた気持である。とりわけ病院紀念日の夕食については全く同感である。私達の療養所でもこの短文を読んだ時は17時に夕食を配膳されて居た。
これは官庁と名のつく病院に公務員と云う人事院規則に依つて勤務時間を規制された職員に依つて運営されて居る私の知る範囲の殆どすべての病院はこの病院と同じケースをとつて居るのである。私の痛く胸を衝かれたのは「健康回復と其の増進を看板とする病院が食欲と無屯着な供膳を行つて居る」と指摘されたことにある。病院は医療を行う処であり看護も給食も又其の他の業務もこれに結集しなければならないのであつて,給食部門も例外ではあり得ないのである。私の勤務する療養所では所謂完全給食を実施して居り,献立は一週間前に病床に配られA食とB食の二種類の献立の中から自分の好きな食事を選ぶことが出来るのである。
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