グラフ
インターン—聖路加病院に於ける実地修練
滝野 賢一
pp.55-65
発行日 1955年8月1日
Published Date 1955/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200989
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われわれの病院で一年間インターン生活を過した人々の意見をきいてみると,先に座談会でも述べられたように(病院第12巻5号),インターン生活を楽しい有益なものだつたとしている。インターン制度の可否,存廃について未だに色々と論議されている現在,これは注目すべき意見のようである。ここにその座談会の一節を再録してみると,「僕はインターン制度については,自分自身の一年間の経験からみて反対する理由は生れてきてないことをここにハツキリ言える」と前おきして,「インターン制度を廃止せよと云う理由は,経済的の不安と充実したインターン教育が受けられなかつたという過去の人達の経験から割出されたものだつた」とし,夏に「このような設備のもとに皆が一緒になつて勉強ができればインターン教育も充実して時間的ロスも少いということになるのであつて,インターン制度に反対する理由はなくなるわけです」と結論している。また他のインターン生は,「学生大会のときにこのようなインターン生活をした人の意見を聞くことができなかつたのを非常に残念に思う。今度自分の大学でインターンについて学生大会があつたら,僕はここで過したインターン生活の体験を話して,このようなインターン生活ならば反対する理由は全然ないということを言うつもりです」と述べている。
要するに,インターン制度そのものに反対なのではなく,その修練の内容の実際と修練を行う期間の経済的な不安がインターン制度反対の主な理由のようである。
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