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Dr. Hara's Recordtape
原 素行
pp.59-61
発行日 1954年5月1日
Published Date 1954/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200817
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(12)「病院の特色」という事から派生する問題
世上の常識から云えば,病院にも夫々特色があつてもいい筈である。この場合にはA+αという公式が成立する。そして,この特色とは高度の医療設備を意味し,Aは基準の線に達した病院という事で,病院格付の4項目共にA級でなければいけない筈である。然しここで私が心配することはA+αでは(A−β)+αという病院であつたら,どうなるということである。我が国では「病院というものは……」ということが案外にも無関心に看過されて,只々+αという事の方がその特色としてヤンヤと歓迎されていた傾向があつたらしい。否今尚ほ世間ではそのようである。勿論患者の幸福の為めに高度の医療設備は非常に重要であるからαを非難するのではないA−βでも何等差支えがないという世間の考え方に私は疑問を持つのである。
日本の病院史の足跡を辿ると,病院が診療所的性格を帯びて誕生した為めに(A−β)は当然な事であつて,+αの方に重心が掛つていたことは無理もないと云えよう。そして,之れが日本華かなりし戦前までの話であつたが,今日のような貧乏な日本ではいや応なしに考えさせられる問題となるのではあるまいか。
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