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ここに全米の病院別の患者と職員との比率があります。1947年と1949年を取つて對比したのですが,患者100に對する比であります。患者100人に對しまして綜合病院では1947年が151人であつたのが1949年には169人と増加しております。すなわち機械化が年々進んでいるにかかわらず人間をも殖やしている。ここに特徴があつて,この點は大いに注意すべきだと思います。日本では大いに機械を輸入して人間を經濟にしようというのですが,向うでは機械化が進むに從つて人間を殖やしている。ちよつと理解できなかつたのですが,そういう現況にあります。機械,人間いずれも殖えている。必ずしも機械ができたから人間は今のままで我慢しようというようなことは言わない方が得だと思います。アメリカにはこういう例があるわけです。この綜合病院の中で非營利病院,財團法人が1949年には患者100人に對して180人,人間は多いですが,月給はヴエテランより安い。個人の綜合病院は患者100人に對して152,ガヴァーメントは144,これは連邦立は含んでおりません。連邦立は別に出ておりますが,これも低い。ヴエテランも1949年はあんまり高くなかつたのですが,いまでは一番高くなつております。以上は綜合病院でありますが,こんなふうになつている。それから長期及び特殊,慢性病などの病院ですが,これが1949年には患者100人に對して僅かに職員は43,ちょうど日本の結核療養所と同率であります。日本の療養所は100人に對して38人くらいですね,ちよつとよいわけです。精神病院が22で非常に惡い。2年前の1947年よりは1人だけ殖えておりますが,患者5人に1人というわけです。日本の方は2人串に1人,武藏野療養所あたりはもう少しよい方だと思います。結核は68人で向うでもやはり綜合病院の3分の1であります。これはあまり大きな聲で言えないのですが,私の期待では,結核はやはり綜合病院に優先して持つていつてくれるだろうということを所りつつ話をしたのですが現實に調べてみますと,綜合病院の2分の1,3分の1以下で,日本の方がまだよい。國立病院が病院ペットだけでいきますと100人に樹して0.7ですか,皆さんの所はその半分くらいですか,3分の1近い。アメリカでは結核の猫立病院と綜合病院とにこれだけ差をつけている。これだけはどうもますいことを見て來てしまつた。しかし事實ですから仕方がないと思つております。それから連邦立が102という牽であります。これは現在非常に多數のペットを持つておりまして,綜合病院よりは牽は惡いのでありますが,1949年以降どんどん殖えておりますし,少くともその他の結核よりもヴェテランはよいのであります。この連邦立の中にはヴェテヲンのもあが大部分でありまして,Public Health Serviceのものがわずかにあります。なお日本で言う海上保安隊,それから海員のいわゆる保險制度のような形になつておりまして,どこの州でも只で入れるという便宜のために連邦の經營しているものがありますが,これは特定のもゐであります。一方は傷痍軍人でありますし,從つて連邦立は一般に開放されていない。その意味からもいろいろの統計を取る場合にはこれを除外した方がよいわけです。まあこんな工合でありまして,アメリカの全病院の總平均を取りますと,61萬ペットを占める精神病院の比率が22で非常に惡いために,せつかく綜合病院が169というような比率を持ちながら全體としては半分以下に下つて,全病院では78になつてしまう。これは精神病院が引下げの役目をしているのであります。
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