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アメリカでの見聞(6)
尾村 偉久
1
1厚生省國立療養所
pp.31-36
発行日 1952年2月1日
Published Date 1952/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200441
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治療の一部として投藥の問題については醫者が處方を書きますと,看護婦がこれを寫す,日本の皆さんにやつていただいているあの通りです。紙はまことに上等の表紙になるようなものを使つております。これを藥戸棚に並べる。150種くらいが並んでおります。實地看護婦と正規看護婦の違う點は,麻藥だけは實地看護婦は扱えないということになつているので,3人しか看護婦のいない所はまことに超過勤務になる。必ず夜中にも正規看護婦が誰かいませんと麻藥の投藥ができない。この點だけは違いますが,後は正規看護婦も實地看護婦も同じであります。日本のように重症者をいじつてはいけないというようなことはありません。麻藥を扱つてはいけないということだけです。
社會復歸については後療法の制度はアメリカでは採らず後保護施設は全般的には進んでおりません。私の會つたところでは,特別に就職に困る患者で,しかも排菌者ばかりを集めて一つの工場を作るというような考を持つた人はいなかつたのであります。それより治療期間をできるだけ短縮するに越したことはない。ことに,まアメリカでは失業者は殆どありませんから,出て行けばすぐ職にありつける。その間に社會生活の恢復ということを同時に併行してやつてゆくということをやつているわけであります。種目は千差萬別で木工工場があつたりして皆樂しくおかしく手仕事を覺えております。机を作つたり,いろいろな調度品を作るということを盛んにやつております。
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