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アメリカでの見聞(2)
尾村 偉久
1
1厚生省國立療養所
pp.8-14
発行日 1951年10月1日
Published Date 1951/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200386
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次に向うの結核の一般的な情勢をお話いたしますが,結核死亡は,1948年は人口10萬に對して30。日本はたしか10萬對160でしたかですが去年は26と減つております。日本は去年は140ですが,ですから大體5分の1以下というわけであります。1年間約3萬5千人くらいの死亡率であります。日本は12萬2千。人口が5割方多いですから,比率は下るというわけです。但し日本と違うのは,日本で一番死亡率の高いのは北海道の260それに對して低いのは山梨の90で,大體3倍程度の差でありますが,ところがアメリカは非常に大きな差を持つておりまして,一番多いのは南部であります。日本と正反對で,日本は東北北海道,大都市に多く,向うは南部の熱帶方面に多く北に行くほど少い。大都會の多いのは同じであります。一番多いのはアリゾナで12,一番少いのはアイオワの9.5州によつて非常に違う。全體としてアメリカは少いが,部分的に見ますと,遲れた所と進んだところの差がある。これは日本と非常に違う點で,全般としてはアメリカは下位に落ちておりますが,しかしある特定の南部の州については,結核死亡が第1等を占めるという州がある。これが從つてアメリカの結核對策は日本よりより重點的にやらざるを得ない,またやつた方がよいというわけであります。
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