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鐵道病院から—ルポルタージユ
N
pp.42-44
発行日 1950年12月1日
Published Date 1950/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200249
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新宿甲州口を出て甲州街道に抜ける道を,ほんの半町,そこから泥濘道の細い道を左に折れると,鉄道病院の茶褐色の建物が,もう見えている。この細道は代々木の森に拔けているらしいが,道の傍の畑には,牧穫を忘れられた野菜がころがつている風景は,もう都会のものではない。病院のある処はそんな処だつた。
玄関の敷石を,横なぐりの雨が叩いている。丁度その前の道端には,広告板が一つしよんぼりと雨に濡れている。そしてそれには,
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