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食品中の鐵含有量に就て
阿部 克己
1,2
1元北海道大學醫學部生化學教室
2現群馬縣富岡保健所
pp.253-255
発行日 1951年12月15日
Published Date 1951/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200967
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榮養の指導,改善の上で食品分析表の演ずる役割は非常に大きいことは論をまたない所である。著者は昭和21年に北海道大學安田守雄教授の指導の本に坂上,今井,吉田の諸氏と共に北海道産食品の無機成分について分析を試みた。然るに數種の食品について鐵量が日本に於て日常廣く使用されている食品分析表である日本食品成分總攬1)に記されてあるものと相違することを認めたのである。この結果については昭和22年日本醫學會第4分科會(大阪)で發表した。其の後各所から本發表について御照會を受けたが本紙上に分析結果の概要を發表し,榮養問題に關心を持たれる人々の御參考に供したい。
鐵定量法としてはA.O.A.C.2)(Association ofOfficial AgriculturalChemists in America)は比色法としてはロダンカリ法,又滴定法としては三鹽化チタン法を採用しているが,著者は日・食・總と同樣の定量法即ち沃度法を用いた。特にこの分析には試料の調製に細心の注意を拂い鐵の混入を防いだ。勿論その爲に鐵製の器具の使用は避けた。食品の蒐集には當時は未だ統制時代で標準になるものを選ぶのには苦心を重ね特に魚類については困難を感じ多數の食品について分析を行い得なかつたのは全く残念であつた。
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