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綜合大病院と健康保険診療(下)—一審査員の体験と感想
室賀 不二男
pp.25-34
発行日 1950年11月1日
Published Date 1950/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200228
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(3)都立豊島病院の健保事務処理法
都立豊島病院ば元来伝染病院であつたが,今次大戦の末期に普通科を設置した。伝染病患者の増減によりその病床数に異動があつたが現在のところ予算定員は普通科90床,結核科150床,外来患者1日500人である。図表1の示す如く昭和25年8月の入院患者数は1日平均普通科111名,結核科88名(今夏の伝染病流行のため臨時手段として結核科病床を半減した)普通科外来患者数は1日平均510名である。普通科患者の半数近く,結核科入院患者の7割が健保である。図表2の示す如く健保取扱件数は全部で約1400件,その額は170万円をこえる。図表3に1件当り請求額をかかげた。これを扱う病棟事務室には患者係長以下8名が居り,別表の如く健保専任としては窓口係,外来係,入院係各1名である。この外に生保係,伝染病係も居り各自責任の分担はきまつている。互に援助して円満に運行しているが,相当の勤務時間に無理があり,特殊能も必要であり,過労で病気となつた場合に代りが得られない。健保専任として4名位ほしいものである。
昨年中は請求書が数ヵ月分も山積し処置にこまつた状態であつた。健康保険診痛録を使用し初めたがその使用に慣れず,点数その他健康保険に関する知識は少かつた。医師側と事務側の意思も時に疏通を欠きすべては悲観的であつた。しかし,事務としても滞積している請求書を一応整理する責任があり,他方医師としても診療録整備の責任がある。
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