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病院組織と總婦長制度
小西 宏
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1厚生省医務局国立病院課
pp.41-43
発行日 1950年4月1日
Published Date 1950/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200130
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多数の職種の職員から構成される近代的な病院の組織は,シンフオニー・オーケストラの音に似ている。シンフオニー・オーケストラは,管,絃,打の各楽器が一人の指揮者によつて一糸乱れぬ演奏を行わなければならない。極く初期の時代,オーケストラが未だ小規模のものであつた時期には,指揮を第一バイオリンのトツプが兼ねていたが,オーケストラが段々楽器の種類,数を増すにつれて兼任では無理となり,専任の指揮者がタクトを振るようになつた。大交響曲の演奏で,何十種の楽器,何百人の奏者,更にこれに合唱団が加わる場合には,他に数人の補助指揮者の応援を必要とすることもある。病院の管理もこれと同様で,極く小規模な組織で患者の診療が比較的簡単であつた時代は,病院の管理を診療の傍ら片手間に見る丈で事足りたであろうが,医学の進歩と社会の発展に伴い診療内容が高度となり,看護その他患者に対する世話も複雑になり,又夫々の分野で深く掘下げられることになつて来ると勢い病院の組織は益々規模が大きくならざるを得なくなつて,かゝる病院の管理は,これを片手間に行うことが許されなくなつて来る。斯くして病院長をコンダクターとし,診療,看護,給食,補給その他の各部門を以て構成する近代的な病院組織ができ上つたものであろう。そして病院の規模が大きければ大きい程,これを構成する部門は多くなり,各部門の数が多ければ多い程,これら部門相互の調和Cooperationが重要となつて来る。
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