連載 世界病院史探訪・10
小庭のある困窮者収容施設群―ライデンのホフィエ
石田 純郎
1
1医療法人慈生会 介護老人保健施設くつろぎ苑
pp.15-16
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102688
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ホフィエ(Hofje)は,オランダではライデンにもっとも多いが,ハールレム,アムステルダム,ウトレヒト,アルクマール,ハーグ,デルフトなどにもある.ドイツの諸都市にも,同様の施設がある.Hofとは,ドイツ語と同様,オランダ語で庭を意味する.-jeはオランダ語の接尾語で,小さいを意味する.Hofjeで小庭の意味になる.
ホフィエは1480年以後に設置され始め,東西貿易で巨万の富を得たオランダの「黄金の世紀」である17世紀に数多く設置された.往時,人口5万人のライデンに35か所ものホフィエがあった.花咲く小庭には井戸,日時計が置かれ,絵になる美しさだ.小庭の周辺に,背の低い5~20軒の長屋を配し,貧しい老人や病人を無料で収容し,世話をした.設置主は富裕な市民で,しばしばその名称に創設者の姓が冠されている.
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