特集 診療支援業務の新潮流
医師事務作業補助の仕事の現状と今後のあり方
瀬戸 僚馬
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1東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科
キーワード:
医師事務作業補助者
,
医師事務作業補助体制加算
,
業務標準化
,
キャリアパス
,
医療クラーク
Keyword:
医師事務作業補助者
,
医師事務作業補助体制加算
,
業務標準化
,
キャリアパス
,
医療クラーク
pp.866-870
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102652
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医師事務作業補助体制加算が設けられて,3回目の診療報酬改定を迎えようとしている.この6年間,現場の医師や実務者による粉骨砕身によって,少しずつ医師事務作業補助者の形が作られてきた.筆者は,2010年に「医師事務作業補助者の発展段階」を予想した.同職種は加算ができる前から存在していたので,その頃からの人材活用を「第0世代」と呼んだ.そして,加算が設けられ診断書など医療文書の作成から手をつけた時期を「第1世代」,電子カルテの代行入力などに手を広げた時期を「第2世代」,そして実務者が自らPDCAサイクルを回し能動的に業務を広げる「第3世代」がこの2012年から2013年の時期であると考えていた1).実際,ほぼそのような展開になっている.
かくして成長してきた医師事務作業補助者ではあるが,未だ検討すべき課題は多い.医師事務作業補助者の設置根拠はいまだ診療報酬という永続性を保証されないスキームに過ぎず,その業務内容もかなり流動的なものである.そして,同職種が活躍するためには相当の医学知識が必要でありながら,その教育要件は6か月のOJTと,そこに含まれる32時間のOff-JTという極めて少ないものだ.結果,病棟回診などをサポートできる専門人材も増えてきたが,他方では「第1世代」が続いている病院も少なくない.そして,実務者からは「他の職種の業務を手伝わされているのでは」という疑問も,少なからず仄聞する.このような課題は山積しているが,それでもインセンティブとして妥当な時期が過ぎれば,今は重点評価されている医師事務作業補助加算の位置づけも,どこかで転機を迎えざるを得ない.
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