連載 診療情報管理の最前線・10
診療情報管理士の課題と将来像
大井 利夫
1,2,3
1日本診療情報管理学会
2日本病院会
3上都賀総合病院
pp.644-647
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102591
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■診療情報管理士の現状
診療情報管理士の養成は,1972年,当時の日本病院協会(現・日本病院会)による「診療録管理」通信教育により始められた.その経緯については,本シリーズの第1回において阿南誠氏が詳述しているが,多くの先人の努力により,2013年4月現在までの認定者累計は2万5,000人に達している.今回,シリーズ10回目として私に与えられたテーマは,主に診療情報管理士の将来像についてであった.
通信教育による診療情報管理士養成事業に着手して約40年,現在では認定大学,認定専門学校の履修生を加えて毎年約3,600人が認定試験に参加し,その約半数が合格して,医療研修推進財団と四病院団体協議会による認定証が授与されている.その多くは,すでに病院に勤務し事務職等に従事しているか,あるいは就職を予定している卒業生であるが,日本病院会が2004年から3年ごとに行っている「診療情報管理士の現況調査アンケート」報告書(第3回,2011年3月)によると,医師,看護師,薬剤師等の医療関連の国家資格を有する人を除く回答者2,287人中,正規職員として勤務している人は73.5%,派遣職員が15.3%,非常勤職員が11.1%であった1).回答率が44.2%と低く即断しにくいが,前2回の調査に比し正規職員が10%近く減少し,その分,特に非常勤職員が増加しているのは診療情報管理士の正規就労の厳しさを表していると言えるだろう.
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